2008年10月01日

二期会と銀鉄、公演見ましたVol,3

二期会のオペラ公演と銀河鉄道のミュージカル公演を、比較して述べます。


9月20日(土)
地元ミュージカル劇団 
銀河鉄道Presents No,27「まちうたミュージカル」銀河鉄道 with SWJO
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・T-City」の公演を見ました。

21日(日)には・・・
二期会の第34回オペラ公演
喜歌劇「天国と地獄」全二幕日本語上演という公演を見ました。

舞台は”生き物”ですので、それぞれの公演の別の日を見ていれば、
また違った感想になっていたかと思います。

銀鉄は私が見たのは「初演・初日」だったわけで、当日の課題を、21日には修正、改良したことであろうことは想像に難くありません。

二期会のパンフレットを見ると、20日(土)に見れば良かったと思ってしまいました。事前にもっとちゃんとチラシなどを見ておくべきだったな、と。お世話になっている方の「晴れ姿」も見逃してしまいました。

⇒なぜオペラとミュージカルの比較などするの?という方、まずは1回目のブログをご覧ください。 ⇒ Vol,1



さて、比較の第3弾です。

■■音楽と楽団■■

二期会と銀鉄の公演を見て共通して思ったのは・・・・、「あああ、生演奏はいいなぁ、ほんと。」

ふたつの公演の演奏を務めた、瀬戸フィルハーモニー交響楽団と、SWJOことスィンギング・ワンダーランド・ジャズ・オーケストラに万雷の拍手を。

この生演奏が、公演に質と厚みを附加していたことは間違いありません。


二期会

音楽、作曲はジョン・オッフェンバック。

古典として永年に亘って受け継がれて来ている名曲の数々。ポピュラーに知られている「天国と地獄」のあの旋律が出て来るタイミングを観客のほとんどが待っているという、恵まれた公演状態ではないでしょうか。

演奏は、瀬戸フィルハーモニー交響楽団。

生の舞台には生の「ひとの心意気」があって当然。そう思っているわたしが、この2日間を通じてもっとも生の舞台のパワーを感じたのは、瀬戸フィルの指揮・山田啓明氏のパフォーマンスでした。座布団5枚、もってけ!素敵でした。

さて、二期会、喜歌劇、日本語・・・どんな公演になるのだろうかとワクワクして客席に座っていたわたし。

準備ととのって指揮者がオケピに登場。

わたしの席はほぼ中央の前から8列か9列目。オケピの中がしっかり見える、という場所ではありませんでした。楽団のみなさんの首から上だけ見えているという角度。その小さな視界の中で、下手から意気洋々と歩く姿、指揮台に上がり客席を振りかえったときのあの「笑顔満身」なパワー。その上、楽団の方に振り向いた氏は、ほんの一瞬だけの間があってタクトを振り下ろしてしまった!流れ的には ⇒ 客席に一礼 ⇒ 楽団に振り向くと同時にタクト振りあげ ⇒ 一瞬で演奏スタート。

思わず、おおおお、っと、声が出てしまいました。

楽団の方を振り向いた指揮者は、だいたい、木管を見て・・いいですか?・・・金管の方を見て・・・いいですか?みなさん・・・と、心を鎮めて、おもむろにタクトを振り上げ・・・・で、音楽が始まる・・てな感じではないでしょうか。

指揮者のキレと心意気で、これでわたしの心持ちは、喜歌劇を生のオーケストラの演奏で聴ける、見れるのだなぁというシアワセな気分いっぱいになりました。

後半、出演者のアドリブに翻弄されたと表現された前日の教訓を生かし?アドリブにオーケストラを巻き込むという生の舞台、喜歌劇ならではの事の成り行きを支えた楽団、オーボエさんに、拍手喝采!

ただただ残念なのは、「日本語の歌詞を聴き取ることに神経を集中してしまわざるを得なかった(これは、のちほど「演技・出演者」のパートで詳しく述べますが・・)」ために、歌詞と一体となった音楽としての楽曲を、充分には楽しめていなかったことです。

これは、こうして比較ブログを書こうと思って思い返してみたところ、楽団の演奏の細部までは記憶に残っていなかったことを自分で初めて気がついたことなんですが・・。ザンネン。


銀河鉄道

音楽・・・クレジットには、作詞・上村 良介。作曲・菅 涼子、銀治(上村氏)とあります。また、音楽監督・二宮伸治とあります。

菅女史は、地元のシンガーでありソングライター。私も、かなり古くからその歌とパフォーマンスは見て聴いていたミュージシャンです。ただ、「ジャズ」の作曲ができるとは知りませんでした。今回、かなり勉強して苦労したのではないかと・・・感じました。

作曲における菅女史と上村氏の役割とか、曲ごとの主導権などは不明ですが、もっとも不明なのが「編曲」。ジャズバンド用の編曲、パート譜の作成はSWJOではないかと推察されますが、どのような譜面がSWJOさんに渡され、SWJOさんがどのくらいJAZZ的に手を入れたのかが、わたし的には興味森々な部分なんですね。

JAZZバンドと一緒にやっている生演奏ミュージカル。

という触れ込みに、期待を多大にしていました。どんなサウンドや曲になるのだろうかと・・・。

舞台がスタートして、フルバンドではない5ピースの楽団の演奏がはじまってすぐに気がつきました。「あ、ジャズバンドのナマ演奏ということは、いつもの銀鉄の汗やパワーをさらにパワーアップさせている、ギンギンのギターやロック的なリズムなどの電気的サウンドの厚みがないんだ・・・・」ということに。

結果、全編を通して音楽的な盛り上がりの強弱については、「電気サウンド」を使う場合よりも起伏の少ない、平板な流れになったのかなぁと思います。

オリジナル楽曲に「ジャズ」を期待したのは、わたしの間違いで、ピアノトリオ+トランペット+サックスという編成での生伴奏があるミュージカルとして見るべきでした。

私の知人R女史とその話をしたときに「でも、ほんとうのジャズの歌ものを作曲できたとしても、素人には歌えないんちゃうん」と一蹴されました。なるほどなるほど。

そういうことで、演出や音楽制作や歌唱指導の場面で絶えずぶちああたる壁、「役者をどこまで追い込めるか。どこまで期待した台本や楽曲を与えていいのか」という境界線。どこかの段階で、何かを決断して、全体を集約していかないといけないわけですから。

エラ・フィッツジェラルドがスキャットで縦横無尽に低いところから高い音程までを駆け抜けるような旋律を、生バンドと一緒に掛け合いでアドリブでガンガンやる!てなことを夢想していたのは、それは、わたしの無理難題。ということに気がつきました。

残念だったのは、上村氏作詞のオリジナル楽曲が、ほとんどスローなテンポの曲ばかりで、全部同じように聞こえてしまった、ということでしょうか。

演奏・・・SWJOことスィンギング・ワンダーランド・ジャズ・オーケストラ

この演奏はまったく違和感なく楽しめて。むしろ、自分たちのコンサートなどではもっと難曲に挑んでパワフルになってるので、リラックスして聞けました。「ちょちょいのちょい」でやってる感さえも。

ただ1点!!ドラムのイノダ先生を、檻に閉じ込めてはイケナイ(笑)

透明のパテーションの奥で、「そーーーっと」ブラシ中心でスネアやシンバルを叩くイノダ先生は、痛々しい(笑)くらい。もちろん、役者のワイヤレスでひろってしまうとか、生音が強いので、いくらPAでミキシングをしてもピアノやベースなどとのバランスが取れないという事情は重々お察ししますが・・・・・わたしは、イノダ先生が汗を吹き飛ばしながら叩きつけるパワードラムを聞きたかった・・・せめて1曲くらいは・・・・

そのせいで、とくにスローバラードのときに、そーーっと叩くドラムとピアノのリズムが合わず、バンドエリアで聞いているよりももっともっと、客席ではリズムと歌がズレて聞こえてました。関口バンマスも、半ズボンの左足でリズムを踏みながら、指を鳴らしてリズムを合わそうとしていましたが・・・・・バンマス、立ち上がってドラムの方を見て指揮をしてもよかったのでは!と思うくらいでした。バンドエリアのナカ音のモニターのこともあったのか・・・きっと21日にはクリアされていたのだと思います。

で、演奏者で「いいとこ取り」をしたSWJOのメンバーがいます!それは・・・・
パンフレットにもっと多くのミュージシャンが掲載されているのに、ずーっと5ピースで進行していて「どこで出て来るのかなぁ」と期待を持たせながら、結局、最後の最後の1曲だけ(21日は2曲にしたらしいですが)、それも「踊りながら、ステップを踏みながら」登場したメンバーですよね。笑。

そのナカでも、上手のトップバッターで出て来たトロンボーン奏者のT氏のノリは尋常ではなく・・・。
「ミュージシャンがごくごく久しぶりにステップ踏んでみました」という素敵なぎこちなさを吹き飛ばす『笑顔と陽気さ』で、わたしの大爆笑を誘いました。


二期会の指揮者の方、銀鉄のトロンボーンさま、声楽の演奏家やミュージカル役者以上のインパクトをわたしに与えてくださり、ありがとうございました。指揮者も奏者も、楽しくなっちゃ。その「人間性、ぬくもり」が心地よかったです。


*************

さてさてさて、昨夜深夜から、本日の昼休憩を利用した今回は、ここまで。

で、ご勘弁を。まだまだまだ、続きます・・・・。

※毎日1回、多いときには2回の「足あと」を残していく「SE」さま・・・その足あとが「はよう書かかんかい、続きを・・」との暗黙のメッセージに見えて・・追い立てられながら、なんとか頑張って書き進みますので、しばらく、おつきあいをお願いします。


残りの項目は・・・・

演技・歌「主役級の出演者、役者」

演技・歌「それ以外の出演者」

「制作体制・舞台監督・舞台進行」

「舞台効果・・音響、照明、舞台セット」


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Posted by rookie1957@ストリート at 12:53│Comments(5)音楽・舞台・映画
この記事へのコメント
るいままでございます

20日「も」見たかったってことですので誤解なきよう(笑)

20日は石あかりのクロージングと重なっていたので物理的に無理ではあったのですが

プログラムをみつつ
蓮井さんのジュピターの妻や、松下さんの世間は、その声や演技に一度でも触れたことがあるものなら よだれもので、見てみたかったぁと。(もちろん21日のキャストも新鮮でよかったのです。成長したなと純粋に感動しました)


現場のものとして1ステージでもどんなに大変かわかっていながら
観客となるとわがままにも、4公演して欲しいと思うわたしを許してくださいまし。
Posted by るいまま at 2008年10月01日 15:15
適格な批評をありがとうございました。
初日の松下先生は、やはり貫禄ありましたよ~☆
また来年も、二期会オペラにご期待下さいませ♪
Posted by LindaLinda at 2008年10月01日 20:28
オケピが良く見えるように
2階席の一番前で観ましたよ(^^♪
もちろん20日(土)にネ・・・(^_^;)
Posted by ママラママラ at 2008年10月02日 00:25
次が楽しみでございますね(わくわく)
Posted by ぴよ at 2008年10月05日 09:21
みなさま、コメントありがとうございます。

コメント返しをする間があれば、次のブログを書くことに回そうと、後回しにしておりました。

★るいまま

いいところ取り・・・され気味なさわやかなコメント、どうもです。

★★Lindaさま

短いコメントに、なにか、他意があるのかと(笑)深読みしてしまっております。

★★★ママラさま

ああ、ですよね。演奏している楽団の動きが舞台と一緒に視覚的に見えてると、もっと違った見え方になっていたかも、ですね。

★★★★ぴよさま

プレッシャー、かけようとした?
Posted by ロックん天涯@rookie at 2008年10月05日 13:35
 
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    コメント(5)